以前のNATIONAL GEOGRAPHICの特集で
Design By Natureというのがあった。
自然界の生物の特徴・特殊能力を解析して、
人の使う製品として応用した例がいくつかあげられていた。
この種の分野を「バイオミメティクス」をいうらしいが、
とても興味深い分野である。
競泳界を騒がした「SPEEDO社」の水着も、この分野の功績で、
サメの肌の微細は構造を解析・応用して生まれたものである。
一番上に示したのは「ザトウクジラのひれ」。
このひれで重要なのは、先端部分の突起形状であるらしい。
このなだらかなジグザグ形状のおかげで、
水の抵抗が減り、スムーズな泳ぎができるのだという。
この特性を風力発電に活かそうという試みが次の写真。
風力発電に使うプロペラは通常凸凹のない、スムーズな
アウトライン形状をしている。
風を受けてプロペラが回転するとき、
風とプロペラの摩擦によって、その摩擦音がすごいのだという。
つまり、摩擦によってエネルギー損失が生じているのだ。
この損失を減らし、騒音をなくす試みとして、
「ザトウクジラのひれ形状のプロペラ」を試験運用中なのだ。
そして最後にその形状を、
自転車のインパネ兼ハンドプロテクターとしてデザインしたものが
最後の写真。
一個前のスレッドで書いたように、
軽量化・高速化していくトランスポーターとしてのトライクを考えたとき、
空気抵抗というものは、非常に重要な課題だ。
このスケッチでは、「ひれ」と「手」という役割的共通点から
ハンドル周りのデザインアプローチとして採用してみた。
しかしながら、ザトウクジラのこのコブ形状(突起形状)は
Googleで画像検索を試みたところ、
頭部と顎部にも見られる。
おそらく、ひれだけでなく、大きな身体に受ける水抵抗を減らすための
工夫が身体中に施されているはずである。
また、他の魚類では小離鰭(しょうりき)と呼ばれる、
小さい背びれの連続したものを纏っているものもある。
そういった身体の要素や構造、構成によって抵抗を減らすものもあれば、
身体全体の形状を工夫することで水抵抗を減らしているものもある。
これはその身体形状を車の車体形状に活かした例で、
メルセデスベンツのコンセプトカーらしい。
今回はNATIONAL GEOGRAPHICSの転載記事ばかりだが、
自然界の微細でエレガントな構造・構成というものは、
かくも美しくそしてなんと効率的なのだろうかと、
感嘆するばかりである。
ナノレベルでのものづくりが可能となった今、
こういった微細構造から生まれる、
新しい素材、表面特性、テクスチュアは
とてもエキサイティングな発達を遂げるに違いない。
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